プラズモン-光子コヒーレント結合

クリーンな二次元電子系を用いたプラズモン-光子コヒーレント結合の実証

プラズモンとは、多数の電子が集団として振動する現象のことです。この振動は電磁波と強く相互作用するため、これまで化学センサーやバイオセンサーなど、さまざまな分野で利用されてきました。近年では、量子コンピュータなどの量子情報技術への応用にも注目が集まっています。液体ヘリウム表面に浮かぶ電子は、不純物や結晶欠陥のほとんどないクリーンな環境に存在します。このクリーンさゆえにプラズモン振動が高品質に保たれ、LC共振器のRFフォトンとの強いコヒーレント結合を実現することができました。時間分解測定では、プラズモンとフォトンの間でエネルギーが周期的にやり取りされる様子を直接観測しました。

電子の集団振動(プラズモン)の周波数を電極電圧で調整し、電気回路(LC共振器)の共鳴周波数に近づけていくと、二つのモードが交差せずに反発し合う「avoided crossing」と呼ばれる現象が現れます。これは、プラズモンとLC回路が量子力学的にコヒーレントに結合していることを示す重要な証拠です。二つの系が強く結合しているとき、それぞれ独立していたモードが混ざり合い、新しい二つのモードとして振る舞うようになります。左図に示す実験データはシミュレーション結果(右図)とよく一致しており、このモデルの妥当性を裏付けています。重ねて示した青破線はプラズモン周波数の理論曲線を表しており、観測されたモードをよく再現しています。

20 nsのRFパルスを印加した後の反射信号強度の時間発展を示しています。実験結果(左)では、プラズモンとフォトンモード間のエネルギーが周期的にやり取りされる様子が明確に観測され、二つの系の強いコヒーレント結合が実証されています。右図は理論シミュレーション結果で、色はLC共振器内に蓄えられたRF電場強度を示しています。シミュレートされたエネルギー交換は実験観測をよく再現しています。

2026

  1. arXiv
    Strong Coupling Between RF Photons and Plasmons of Electrons on Liquid Helium
    Asher Jennings*, Ivan Grytsenko, Thomas Giovansili, Itay Josef Barabash, Oleksiy Rybalko, Yiran Tian, Jun Wang, Hiroki Ikegami, and Erika Kawakami*
    arXiv:2601.22552 (2026).