リュードベリ遷移

リュードベリ遷移による量子キャパシタンス

液体ヘリウム上の電子は、不純物や格子欠陥の影響を受けない、極めてクリーンな量子コンピューティングプラットフォームです。中でもスピン状態は、他の系と比べて非常に長いコヒーレンス時間を持つと理論的に予測されており、量子ビットとしての利用が注目されています。一方で、スピン状態の読み出しは依然として困難です。そこで我々は、スピン状態をリュードベリ状態にマッピングし、LC回路を用いてその遷移を高感度に検出する手法を提案・実証しました。周波数変調を加えたマイクロ波によりリュードベリ準位の遷移を誘起し、量子キャパシタンスの変化として読み出すことで、単一電子のリュードベリ遷移を識別できる感度を実現しました。この成果は、スケーラブルなスピン読み出しへの道を開くものです。

マイクロ波(MW)キャリア周波数 fMW に対する反射RF電力をスペクトラムアナライザーで測定した結果。周波数変調(FM)のパラメータは fmf = 1 kHz、fma = 768 MHz です。リュードベリ遷移に対応する信号として、fMW = 165 GHz 付近で f = fRF ± fmf にサイドバンド信号が現れます。

2025

  1. PRL
    Probing the Quantum Capacitance of Rydberg Transitions of Surface Electrons on Liquid Helium via Microwave Frequency Modulation
    Asher Jennings*, Ivan Grytsenko, Yiran Tian, Oleksiy Rybalko, Jun Wang, Itay Josef Barabash, and Erika Kawakami*
    Phys. Rev. Lett. 135, 087001 (2025).
    Editors’ Suggestion